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漢字が書けるようになるためには、実際に手を動かして書くことが重要ですが、闇雲になんどもなんども反復練習させるだけでは、意味を理解しづらく、単調な作業に嫌気がさして漢字自体が嫌いになってしまうことも考えられます。長い目でみたときに、これはもっとも避けるべきでしょう。

伝統的で月並みなアプローチかもしれませんが、漢字が「書ける」よりも漢字に親しむように、という配慮をもって接するのが一番いいと考えています。

もちろん、手を動かして書くことは欠かせない要素ですが、それが漢字を覚えるための動作の全てではなく、文章にでてくる漢字をまずは声にだして読んでみたり、日記を通して自然と漢字に触れるようにするなどの工夫が考えられます。純粋な反復練習と、有機的な解説・意味理解のバランスを重要視しています。

日本の試験問題では、総合問題としての読解問題のウェイトがかなりの部分を占めており、広い意味で「読めるようになること」がある意味で最終目標となります。

このとき当然ながら言葉の力が必要になってきますが、これに関しても、一対一の対応を反復練習していくと同時に、文脈の中で意味を獲得していく作業が大変重要になります。

つまるところ、やはり本を実際に読むのが大切になるのですが、これも一人で行うのが難しいということもあるでしょう。

自分が本を読むことをサポートしてくれたひとつの存在として、やはり本を読んでいる近くにいた年長者の存在があり、「これってどういう意味？」と聞いて答えてくれるのが大きな支えになっていたと思います。

例えば「努力って何？」と聞かれたら「努力するっていったら、頑張るってこと、◯◯するように努力する、って言ったら、◯◯をするように、すごく頑張るってことだよ」という風に言い換えて説明することを意識しています。

読解は大きく分けて物語／評論の2タイプがあり、その間に位置するようなものとして随筆が登場しますが、どのタイプにも理解の根本として「共感」という原理があると考えられています。

共感というと物語理解に偏った表現のように聞こえるかもしれませんが、評論においても「筆者の言いたいこと」に「なるほどなあ」と興味を示すこと、言うなれば納得と言い換えられるでしょうか。随筆でも、なるほどねえと感じ入ることで、文章を「わかった」と言うことができるのです。

ですので、いわゆる辞書に載っている言葉の意味を機械的にすべて把握したとしても、つまり言っていることが意味としては理解したとしても、筆者に共感できたり、言っていることが納得できなければ、問題を解けないということがでてくるかもしれません。これは小学生だけではなく、中高生になってもずっとつきまとう問題になります。